シベリアからの手紙

高寺直美

2021年11月30日 08:56

今週実家で初めて中身を見てみたもの。
シベリアに出征していた祖父からの手紙です。
第一次世界大戦ですから100年以上前…すごい。



「軍事郵便」なんて初めて見ました。
宛先は「大日本帝国信州小県郡」から始まります。
当時の郵送料は3銭。



祖父は陸軍第二中隊に所属して
シベリアのスパスカヤという場所で任務に就いていたようです。
陸軍の赤い縦書きの便せんに、
年末の日記のような文章も残っていました。
全ては解読できないものの、
腸チフスの予防接種を受けたと思われる記述や
班の中で年末の大掃除を行ったこと、
週番の兵がお正月の準備で忙しそうだなどと
軍隊の中の日常を垣間見ることもできました。
「最低温度零下二十八度」との文字も。過酷な環境ですね。

一番驚いたのは、きれいに保存されていた
「西比利亜(シベリア)出征双六」という大きな双六の紙!!
全て手書きです。



振り出しは「松本出発」。松本城も描かれています。



そこから名古屋に移動し、敦賀から出帆。
シベリアにわたって軍の中で起こる様々なことが
各コマに描かれていて、
最後のあがりは「凱旋」。
帰国できる日を夢見て、任務の間に仲間たちと
双六で気晴らしをしていたのでしょうか。



祖父が無事に帰還しなかったら
いま私はここにいないんですよね。
100年以上経って孫が開くとは思ってなかっただろうな。
なぜかビニール袋に雑然と入れられていましたが、
桐の箱に入れて持ち帰ってきました。
家族の遺産でもあり、本当に貴重な歴史的資料でもありますよね。
大切にしまっておかなければ。